あ す な ろ
〜銀くんと宇宙人〜


by フェイスレスSマサヤ

第一話『ソラから来た少女』

 宇宙と呼ばれる広大に続く深淵の闇。
 その中では様々な星々が、己が存在を主張するが如く輝き続ける。
 さしずめ、”満天の星空”・・・・・と呼べるほどの美しき空間。
 そんな中を、三つの光が軌跡を残しながら突き進む。
 しかし、それは流星の類ではなく、明らかな人工物・・・”宇宙艇”であった。
?『あぅぅ・・・兄様(あにさま)もうダメですぅ・・・!』
 その宇宙艇の中の一機。
 一番先頭を行く宇宙艇に乗る少女は、頭を抱え込みながら通信機に向かいそう告げる。
?『諦めるな!お前はボクが絶対に守ってみせる!』
 続いて二番手を行く宇宙艇のに乗る少年が、通信機から聞こえる妹の声に力強くそう告げる。
?『兄様・・・』
 少女は少年の声を聞き、少年乗る宇宙艇の方を向く。
 しかし、そんな二人の乗る二機の宇宙艇を追いかけるように、少し離れた位置を行く三機目の黒い宇宙艇が速度を上げる。
?『くそっ!まだスピードが上がるのか!?』
 少年は忌々しげにそう言い、自分たちを追いかける黒い宇宙艇を睨む。
?『逃しはせん!!』
 三番目を行く黒い宇宙艇に乗る男は、そう言い更に宇宙艇を加速させる。
 しかし、少年の乗る宇宙艇が行く手を阻むが如く蛇行しながら移動する。
?『くっ、忌々しい奴め!』
 少年が乗る宇宙艇の動きに業を煮やした男は、操縦桿に付けられたトリガーを引く。
 そして、黒い宇宙艇から閃光が放たれる。
ビィィィィィィィィィ!!
?『!?』
 放たれた閃光は少年の乗る宇宙艇めがけ襲いかかるが、
?『兄様危ない!』
ガキィッ!!
 少年の機体に閃光が直撃するかと思われた瞬間、閃光は寸前のところで援護に入った少女の機体を貫く。
?『キャアアアアア・・・!!』
 黒煙を上げきりもみしながら少女の機体は、近くに存在する”青き惑星”に吸い寄せられるように墜落した行く。
?『グレーテル!!』
?『しまった!!』
 少年と彼らを追いかけていた男は、即座に少女の機体を追い旋回を開始するが、既に少女の乗った機体は”青き惑星”の重力圏内にありもはや追いつくことはかなわない状態にあった。
?『グレーテル!!グレーーテルッ!!!』
 しかし、それでも少年は少女の機体を追い続けた。
 そして、二つの機体は流星の如く二つの軌跡を残し”青き惑星”・・・
 ”地球”に墜ちていくのであった・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。

−−−風見原学園。
 町中にある小高い丘の上にある学舎。
 それが、俺の通う学校”風見原学園”である。
 時刻は既に放課後を回っており、学舎からは複数の生徒が家路につき、校内に残った生徒は部活や委員会等の作業をしていた。
銀「今日も疲れたな・・・とっとと帰るか・・・」
 帰宅部である俺も、例外なくその中の一人であった為、欠伸をしながら家路につく用意を始めようしていると、
少女「大きな欠伸だったね。疲れなの天月(あまつき)くん?」
 不意に俺に一人の少女が、話し掛けてくる。
 クラスメイトの西尾かなた(にしお かなた)だ。
銀「西尾か、バイトが忙しかったからな。その疲れがまだ抜けないんだ」
 俺は話しかけてきたクラスメイトにそう答える。
かなた「お疲れ様。あ!そういえば良いモノがあるよ」
銀「良いモノ?」
 俺は帰りの用意の手を休め、西尾の方を見やる。
 何やら自分の鞄をゴソゴソと漁っていた。
かなた「あった!はい天月くん」
 そう言い西尾が、鞄から取り出したモノは
銀「栄養ドリンク?」
かなた「そっ」
 西尾は鞄から取り出した栄養ドリンクの瓶を俺に手渡す。
かなた「ささっ。グイッといっちゃって下さい」
 手渡たされた瓶を眺めていた俺に、西尾 がそう言ってくる。
 正直、オヤジくさいと思う。
銀「じ、じゃあ、頂くよ」
 せっかくの好意なのでとりあえず頂くことにする。
 蓋を開けて瓶を煽り、ドリンクを飲む。
グビッ
銀「・・・・・・」



ブッーーー!!
 俺は口の中に入った液体のあまりの刺激に、それを噴き出す。
かなた「天月くん。キタナイヨ〜!」
 怪訝そうな顔をして西尾がそう言う。
銀「ゲッホ!ゲッホ!な、何飲ますんじゃー!!」
 あまりにも衝撃的な味であった為、相手が西尾という事を忘れて吼える。
かなた「わわっ!ビックリした!!何って・・・コレだよ」
 そう言って再び鞄から瓶を取り出す。
かなた「スーパーマムシドリンクEXウルトラGoold♪」
銀「・・・・・・」
 なんて怪しいネーミングだ・・・。
かなた「これで”修羅場”もへっちゃらだね」
 と、言い微笑む西尾。
 つか、何で”修羅場”?
 時々コイツは訳の分からない事を言うな・・・。
かなた「で、天月くん。疲れはとれたかな?」
銀「ん?ああ、そういえば」
 確かに先ほどまでの気だるさはなくなっていた。
 西尾の栄養ドリンクのお陰・・・
 と、いうことにしておこう。
銀「ありがとうな西尾」
かなた「いえいえ。ところで天月くんは今日もバイトなの?」
銀「いや、今日から暫くは休みだ」
かなた「そうなんだ。じゃあ、天月くん。ちょっとお願いが有るんだけど聞いて貰えるかな?」
銀「お願い?」
 手を眼の前で合わせて頼みこむ西尾に、俺は聞き返す。
かなた「明後日何だけど、個人的な用事でちょっと人出が欲しいの。天月くん暇だったら手伝って貰えないかな?」
銀「ウ〜ン。どうするかな・・・まあ、どうせ明後日は暇だし栄養ドリンクの礼もあるしな。手伝うよ」
かなた「本当!?」
 俺の答えを聞き西尾の顔がパァっと明るくなる。
銀「ああ」
かなた「ありがとう天月くん。お給料は弾むね」
銀「給料が出るのか!?」
かなた「と言っても少しばかりだけど」
 ボランティアかと思っていたんだがな。
銀「ああ。分かった」
かなた「本当にありがとうね。あっ、ごめん。私これから部活だから・・・」
銀「応。じゃあ、明日だな」
かなた「うん。詳しい事は明日説明するね。それじゃあまた明日ね。天月くん」
 そう言って西尾は教室から出て行った。
銀「俺も帰るか・・・」
 帰宅部の俺はこれ以上構内に残る理由もないので、西尾を見送ったあとそう呟き、机の脇に掛けてある鞄を手にとって、教室を後にした。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
−−−通学路。
 学校を後にした俺は、現在学校の寮として使用されているアパートに向かって、歩いている。
 学校からの距離はさほど無いが、学校の立地が小高い丘の上にある所為か、寮として使用している建物まで少し歩かなくてはならない。
銀「全く。便利なのか不便なのか分からないな」
 等と呟いていると、
ヒュルルルルルルルル・・・・・・
銀「?」
 何かが墜ちるような、そんな音が後方上空より聞こえ、俺はその方向を見やる。
?「あいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
銀「!?」
 振り返ったその先には”何か”が奇声を発し墜ちてきていた。
 そして・・・
ガンッ!!
銀「ガハッ!!」
?「ぎゃん!!」
 ソレは俺に激突し、俺らは互いに逆の方向に吹き飛ぶ。
 あまりの衝撃に一瞬気を失いかけるが、何とか気絶するのを耐える。
銀「つっ・・・いったい何なんだ?」
 俺は頭を押さえ倒れた体を起こし、当たりを見渡す。
銀「!?」
 すると、目の前にはフルフェイスのヘルメットを被り、ウエットスーツともライダースーツともとれるスーツを着た少女が倒れていた。
銀「おい。大丈夫か?」
?「う、ううっ・・・」
 俺は少女に近寄り肩を揺するが、小さな呻き声を上げるだけで反応がない。
 どうやら気絶しているようである。
銀「マジかよ・・・」
 取りあえず、少女の状態を立て直そうと少女の体を持ち上げる。
コトッ・・・
 その拍子に少女の被っていたヘルメットが外れ、その素顔が顕わになる。
銀「!!?」
 気絶したままの少女の素顔を見た俺は驚愕した。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。

−−−風見学園寮「106号室」。
 学生寮の自室に着いた俺は、担いできた少女をベッドの上に寝かせ、
銀「とりあえず、状況を整理しよう」
 状況の整理しようと、その場に座りそう呟く。
銀「まず、今俺のベッドの上に寝かせているコイツは何者だ?」
 そう言い俺は自分のベッドの上で寝息を立てている少女を見やる。
銀「あの場に放置するのも気が引けたので、とりあえず部屋まで運んじまったけど・・・」
 普通なら救急車を呼ぶか、病院に連れて行くかするのだが・・・。
 あえて、俺はそうしなかった。
 それは、
銀「コイツ人間なのか?」
 目の前の少女をみ見ながらそう呟く。
 少女の肢体は人間の形を成していたが、決定的に違う部分が多々あった。
 大きな差違の1つは腕部で、肩から肘まではヒトと変わらないものの、肘から手首までが ヒトのそれよりも太く肥大化しており、手の形状も指が三本でそれら全てがヒトの指の二倍はある。
 また、臀部(でんぶ)からは約1メートル程の尻尾があった。
銀「最初は作り物と思ったけど、この腕と尻尾。本物みたいだな・・・それに・・・」
 そのほかにも小さな差違があるが、最も特徴なものは頭部であった。
銀「髪の毛みたいだけどこれは違うよな・・・あと、額に石みたいなモノも着いてるし・・・」
 頭部には髪の毛に見えるエラのようなモノがあり、そしてその額には石の様な鉱物が存在した。
 それらを踏まえ、空から落ちてきたこの存在の事を考え俺は一つの答えを見いだす。
銀「コイツまさか・・・宇宙人・・・?」
 自分でも”何を馬鹿な”と思う。
 しかし、そう考えると”妥当”であり、”納得”も出来てしまうのである。
銀「昔から捨て猫なんかを見ると、放っておけなくて拾ってきては親父達を困らせていたけど、まさか宇宙人を連れ来る事になるとは・・・」
 流石に、自分の事とはいえ呆れかえるぜ。
銀「・・・どうしたもんかな・・・」
 などと呟いていると、
?「うっうう・・・」
 宇宙人(?)少女が目を覚まし起き上がる。
銀「おわっ!!」
 彼女の顔を覗き込んでいた俺は、少女が目を覚ましたことに驚き、素っ頓狂な悲鳴を上げて倒れる。
 そして、俺は倒れたままの状態で少女を見やる。
?「?」
 少女は辺りを見回していた。
キョロキョロ。
?「??」
 キョロキョ・・・。
?「!!?」
銀「!!」
 目が合ってしまった・・・。
?「ksjayigubbsiojksjbgi@quodvl;cv,miodi-rui!!?」
銀「な、何だ!?」
 俺と目があった少女は訳の分からない言葉を発しながら後ずさる。
銀「おっ、おい。あんまり後ろに下がると・・・」
?「iohjijkkjjgfdkjakkbjvnjnal;;:l;@lbnmjashhgayoasjgkirprs;k....!?」
ドスンッ!!
 案の定。ベッドから落ちた。
銀「おい。大丈夫か・・・!?」
 俺はベッドの上から落ちた少女にそう語りかける。
?「・・・・・・」
 しかし、しかし少女からの返事がない(まぁ、言葉が通じているかも分からないが・・・)ため、仕方なくベッドの上に上り少女を見やる。
銀「お〜い・・・!?」
 ベッドの上から少女を見やった俺は驚愕した。
ブルブル・・・。
 少女はベッドから落ちたその場で頭を押さえ身を屈めながら震えていた。
 どうやら怯えているらしい。
銀(そんなに、俺は怖いか・・・少しショックだ・・・)
 などと思うが、俺だって得体の知れないモノをいきなり見つけたらこうなるかも知れないな。
 まぁ、現に少女が目覚めたとき、少し驚いて悲鳴を上げたしな。
 と考えを改めそして俺は、
ナデナデ・・・
。 ?「!?」
 少女の頭を撫でた。
 正直どうしたらいいか分からなかった。
 ただ、何となく・・・そうしていたのだった。
銀「大丈夫だ。俺はお前に危害を与えたりしない。だから、そう怯えなくていいよ」
 俺は少女の頭を撫でながら、いつの間にかそう呟いていた。
?「・・・・・・」
 言葉が通じたか分からないが、少女の震えは次第に収まっていった。
 そして、
?「argtu・・・」
  少女は恐る恐る俺の顔を見上げる。
銀「ニッ☆」
 俺は少女に向かい、これでもかという笑顔を見せてやった。
 そして、
?「ニコッ☆」
 少女も笑った・・・と思う・・・多分・・・。
・・・・・・。
・・・。
 俺は少女が落ち着くまでの暫くの間、彼女の頭を撫でていた。
 そして、不意に少女がごそごそと動き出し、胸元にあった機械のボタン操作し出す。
ピコピコ・・・。
 そして操作が終わると少女は、
?「あ、あー。私の言葉分かりますか?」
 言葉を発した。
銀「!?」
 少女が発した今度の言葉は、先ほどの訳の分からない言語ではなく、ちゃんとした日本語であったため俺は少し驚く。
?「私の名前はグレーテルと言います。私の言葉分かりますか?」
 グレーテルと名乗った少女が、今度は不安げな表情で再度訪ねてくる。
銀「ああ。分かる・・・」
 いきなり日本語をしゃべったことに驚きながらも俺は彼女の言葉に返答する。
グレーテル「良かったです。翻訳機は壊れてないようです」
 グレーテルは、そう言い胸を撫で下ろすような仕草をした。
グレーテル「助けていただいたようで、ありがとうございます。ええと・・・」
銀「俺は銀・・・天月銀だ」
グレーテル「天月さん。助けていただき本当にありがとうございます」
銀「いや気にするな」
グレーテル「いいえ。本当に助かりました☆」
 少女は笑顔でそう返してきた。
銀「ところで・・・グレーテルだっけか、お前は何なんだ?・・・宇宙人・・・なのか?」
 俺は先ほどからの疑問を投げかけた。
グレーテル「はい。お察しの通りです。私はシドン星団第七惑星ライアスから来ました。ですから貴方から見れば異星人・・・つまり宇宙人と言うことになります」
銀「やっぱりそうか・・・それにしてもシドン?ライアス?効いたこと無い名前だな・・・」
グレーテル「こちらの惑星は何という名前なのですか?」
銀「地球っていえばわかるか?」
グレーテル「地球・・・ですか・・・はい。分かります私たちの住むライアスからは約21億光年離れた位置にある惑星ですね」
銀「に、21億!?そんなに離れた惑星から来たのか!?」
 正直驚いた。
 確か1光年は光の速さで1年だから・・・光の速さで21億年年かかる距離って事である。
グレーテル「はい。亜空間航法を使用したので距離はあって無いようなモノですが・・・」
銀「SFとかアニメに出てくるワープってヤツか・・・」
 俺はふと某宇宙戦争映画やロボットアニメなんかを想像した。
グレーテル「SF?あにめ?何ですかそれは?」
どうやらグレーテルの惑星にはそう言った娯楽や文化はないようであった。
銀「いや。気にするな独り言だ。ところでお前何しに遙々地球まで来たんだ?」
 いちいち説明するのも面倒なのでそこで話を切りこちらから質問を投げかける。
グレーテル「実は・・・私は逃げてきたのです」
銀「逃げてきた?」
グレーテル「シドン星団では争いはもう殆ど起きていませんでした。ですが、隣星団であったオロン星団の統率惑星ジスプの保有軍隊が突如私たちのライアスを襲撃したのです。私と兄様はとと様と母様のおかげでライアスから逃げることができたのですが・・・」
 途中でグレーテルは俯き言葉を区切る。
 太腿当たりに置いていた彼女の手が、ギュッと握られるのに俺は気付いていたが、彼女に声をかけることなく黙ったまま俺は次の言葉を待った。
 そして、先ほどよりも悲しい表情になりながらも、グレーテルは再び口を開いた。
グレーテル「亜空間航法が不完全な形で行われたため、この地球付近に転移してしまったのです・・・。そして、私たちを追ってきたジプスの宇宙艇に打たれて墜落してしまったのです」
銀「・・・・・・正直。話のスケールがでかすぎてよく分からないな」
 マンガやアニメならよくある展開なのだろう。
 しかし、こうして現実で宇宙戦争じみた話をされて理解しろという方が酷である。
グレーテル「・・・でも本当なんです」
銀「まぁ・・・お前が嘘をつく理由もないしな」
 確かに、嘘をつく意味はないだろう。もし侵略目的の宇宙人なら俺一人簡単に倒せるぐらいの力はあるだろうしな。
 それに、先ほどの行動を目の当たりにしているから、逃げてきたと言うのも本当だろう。
銀「でも、もしそれが事実だとしたら、出来れば関わりたくない・・・そんな他の星を襲うような連中が来たら、命がいくつあっても足りないしな・・・」
 こう返答するのは、もっともな意見だと思う。
 それに、これ以上の面倒ごとはごめんだ。
グレーテル「・・・・・・はい。天月さんや他の方には迷惑が罹らないように、このまま私はここを出て行きます。それに兄様もまだ周辺宙域にいると思いますから・・・」
銀「そうか」
 多分仲間が近くにいるというのは確実ではないのだろう。
 少女はあからさまに無理をした笑顔を俺に向けそう答えた。
グレーテル「天月さん。本当に助けて頂いてありがとうございます」
 最後にグレーテルはペコリと頭を垂れ、俺に礼を言って部屋から出て行こうとする。
 コレで片は付く。
 こいつが出て行けば普通に明日から当たり前の生活が出来る。
 それに、あの場に放っておくのは忍びなかったから連れてきたが、動けるのならば問題ないだろう・・・。
 そう、宇宙人を拾って看病したなんてただの出来の悪い夢だと思えばいい。
 そう、コレは夢だ・・・。
 そう思えば全て終わりだ・・・。
 でも、
 それで良いのか?
 本当にそれで・・・・。
 宇宙人とはいえ先ほどまであんなに怯えていた少女を、このまま放り出すのか?
 そんなの・・・
銀「良いわけねぇよな・・・」
 俺は決心するかの様にそう呟きそして、
銀「あ〜!!うだうだと悩んだって答えが出る訳ないな・・・よしっ!」
 俺は立ち上がり。
銀「グレーテル待った!!」
グレーテル「?」
 部屋を出て行こうとしたグレーテルを呼び止めた。
銀「お前の仲間が来るまで、俺が出来る程度で協力するよ」
 と宣言した。
グレーテル「え?」
 グレーテルは素っ頓狂な声を上げ振り返る。
銀「だ・か・ら・お前の仲間が来るまで、俺が出来る程度で協力するっていったんだ」
グレーテル「ほ、本当ですか!?」
 グレーテルは信じられ無いといった表情で、口にてお当てながらそう聞いてきた。
銀「ああ。だから、それまでここにいて良い。出来る限り面倒も見てやる」
 関わっておいてほっぽりだすのも後味が悪い。
 ならば、とことんまで関わってやろう。
グレーテル「で、でも・・・」
銀「気にするな。俺がそうしたいからそうするだけだ。行き先のない女の子を放り出す程俺は鬼じゃあない」
 彼女の言葉を遮り俺はそう言った。
グレーテル「ほ・・・本当に良いんですか?こんな見ず知らずの・・・しかも宇宙人の私を助けてくれるんですか?」
銀「ああ」
グレーテル「グスッ・・・天月・・グスッ・・・さん・・・うう・・・あ、ありがっ・・・ありがとうございま・・・うあぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
 堰を切ったように彼女の瞳からは涙があふれ出していた。
銀「おいおい。泣くなよ・・・」
 はぁ、勢いで変なことに関わっちまったな・・・。
 正直、どうなるか分からないし、面倒ごとを抱え込んだだけのようだが・・・。
グレーテル「グスッ・・・・本当に・・・グスッ・・・ありがとうございますぅ・・・」
 俺はその場に座り込み泣きながら、礼を述べるグレーテルの頭を撫でながら、
銀(マジで感謝されているみたいだし・・・まぁいいか・・・)
 そう思うのであった。



続く・・・。


















次回予告

銀「何だかんだで宇宙人娘を居候させる事になった俺。

 食生活やら、文化の違いやら、グレーテルの仲間捜し、

 問題は山積みだが、今の状態でそんなのは然したる問題じゃなかった・・・

 最も厄介なのは人災・・・

 次回、あすなろ〜銀君と宇宙人〜、第二話

 『かなたパニック!』

 西尾ちょっ、まっ・・・!!」

グレーテル「地球って面白い所ですね☆」


あとがき







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